
外壁コーキングは補修が必要!劣化を放置した場合のリスクを紹介


外壁コーキングの劣化を発見した際には、補修が必要です。コーキングの劣化を放置すると、雨水の侵入を守れなくなります。外壁コーキングの状態を確認して、緊急性がある場合はすぐに業者に補修を依頼しなければなりません。 そこで今回は、外壁コーキングの傷む原因や対処法について具体的に解説します。コーキングを放置するリスクについて確認しましょう。
外壁のコーキングとは?

外壁のコーキング材は、建築物の防水性を高める役割があります。コーキング材の素材には、ポリウレタンやシリコンなどがあり、サッシと壁の隙間に使用することが多いです。コーキング材は雨の侵入だけでなく、外壁同士の摩擦を防ぐ役割もあります。
「コーキング」と「シーリング」の違い
「コーキング」と似た言葉に、「シーリング」があります。コーキングとシーリングの違いについて疑問に思う方も多いですが、実際のところあまり違いはありません。現在の日本での正式名称としては、シーリング材と呼びます。 コーキングという言葉を今でも使用するのは、はじめに使用したシーリング材が油性のコーキング材だったためです。今から70年ほど前にコーキング材が大量に輸入され、その名称が今でも使用されています。 JISには、コーキングとシーリングの言葉がそれぞれ規定されています。シーリング材は構造体の隙間部分に充填して、防水性や気密性などの機能を高める材料です。油性コーキング剤は、合成樹脂や天然樹脂などと鉱物質充てん剤を混ぜ、製造したシーリング材のことです。外壁の耐久性を高める点では、どちらも同じ役割があります。
外壁コーキングの耐用年数は、一般的に5~10年
外壁コーキングの耐用年数はおよそ5~10年といわれていますが、外壁コーキングの種類や使用部分により劣化のスピードは異なります。たとえば、水回り用のコーキング材は油分を多く含んでおり、水を弾く特性があります。水回り用のコーキング材を通常の外壁塗装に使用すると、油分が外壁に染みだし、汚れが残る可能性があります。 また、外壁用のコーキングにより耐用年数が異なります。ポリウレタンコーキングの耐用年数は15年、ウレタンコーキングの耐用年数は10年、編成シリコンの耐用年数は7年です。使用するコーキングにより費用も異なるため、予算にあわせてコーキング材を定期的に交換する必要があります。
外壁コーキングの、よくある劣化状態

外壁コーキングは、長年使用すると劣化します。単にひび割れるだけでなく、左右の切れが生じたり肉やせが起こったりと、さまざまな現象を引き起こします。具体的にどのような劣化が生じ、どのように対策すべきかを解説します。
ひび割れ
外壁コーキングを長年使用すると、ひび割れが起きます。ひび割れが起きる原因は、コーキングの弾力性が失われ亀裂が入るためです。ひび割れが起きると耐震性や耐水性が失われるため、新しいコーキングと交換しなければなりません。 劣化したコーキングをそのまま放置すると、雨水が侵入してカビの原因になります。コーキングの状態は素人には、なかなか判断しづらいでしょう。業者に現地調査を行ってもらい、コーキングの状態を確認してもらうのが一般的です。
左右の切れ
外壁コーキングの左右の切れも、劣化のサインです。左右の切れが起こると本来のコーキングの役割を果たせず、雨水が侵入するかもしれません。少しの切れぐらいならば問題ありませんが、左右の切れが大きくなると外壁コーキングの交換が必要です。片側にしかコーキングがついていない場合は、すぐに交換を依頼しましょう。
肉やせ
コーキングが肉やせしていると、劣化している証拠です。外壁コーキングの肉やせとは、コーキングの厚みが薄くなる状態のことを指します。外壁コーキングが傷んでいない場合は凹凸が少ないですが、肉やせが起こると表面が凹みます。 肉やせの原因は、コーキング不足が考えられます。コーキングを施工した際に、適切な量をコーキングしないと肉やせが起こります。肉やせになると、破損しやすくなり雨漏りやひび割れの原因になります。肉やせの状態によっては、交換が必要です。
破断・剥がれ
コーキングの破断や剥がれは、劣化しているため交換を検討しましょう。破断とはひび割れよりもひどい状態であり、コーキングが割れて穴のようになっている状態のことです。コーキングが破断している場合は、早急に業者に連絡する必要があります。 また、コーキングの剥がれが起こると外壁との隙間が生じます。隙間から雨水が侵入するケースがあるため、業者に補修してもらいましょう。
外壁コーキングが劣化する原因
外壁コーキングは、なぜ劣化するのでしょうか。劣化原因を知ることで、コーキングの劣化を防止することにつながります。ここでは、外壁コーキングの劣化原因についていくつか紹介します。
経年劣化
経年劣化が原因で、外壁コーキングが劣化する場合があります。外壁コーキングは種類により耐用年数がある程度決まっており、一般的な外壁コーキングは5年~10年といわれています。耐用年数が長いコーキングを選ぶと、劣化しにくくなります。 外壁コーキングの耐用年数を長くしたい場合は、コーキングの種類に気をつけなければなりません。安いコーキングを選ぶと数年で傷む恐れがあるため、メーカーが保証する耐用年数を確認して選びましょう。
紫外線
外壁コーキングは、紫外線が原因で傷みます。外壁コーキングには添加剤が含まれており、その添加剤が紫外線を吸収しますが、年月が経つと添加剤の効果が低下します。添加剤の効果が低下すると、雨や風の影響により劣化のスピードが早くなります。
寒暖差
外壁コーキングは、寒暖差によっても劣化します。外壁コーキングは樹脂でできており、伸び縮みする特徴があります。寒暖差が激しいと伸縮性がうまく機能せず、コーキングが傷む原因となります。外壁コーキングにも、寒さや暑さに強いものなど種類により異なるため、ご自身の住んでいる地域や環境に応じてコーキングの種類を選ぶ必要があります。
雨風や雪
外壁コーキングは、雨風や雪などの天候によっても劣化のスピードが変わります。外壁コーキングに直接雨や雪が当たるとコーキングが剥がれるため、きちんと対策をしなければなりません。コーキングを塗装することで、雨や雪などからコーキングを守れます。防水塗膜コートなどを使用して、雨や雪から防ぐ必要があります。
施工不良
外壁コーキングをきちんと施工されていないと、すぐにひび割れが発生したり、剥がれたりします。保証されている耐用年数よりも早く傷んでしまった場合は、施工不良を疑いましょう。施工不良としてよくあるケースでは、シーリング材の厚み不足やプライマーの塗り忘れなどがあります。 塗り忘れではなく、使用するコーキングがそもそも適していなかった可能性もあります。あまりにも早く外壁コーキングが劣化した場合は、一度業者に確認してみましょう。業者との契約内容によっては、保証期間内だと無料で補修してくれます。
外壁コーキングの劣化を放置した場合のリスク
外壁コーキングの劣化は、素人からすると判断が難しい箇所です。しかし、外壁コーキングの劣化を放置すると、さまざまなリスクを引き起こします。 たとえば、ひび割れたコーキングを放置すると雨水の侵入リスクがあります。雨水が侵入すると腐食の原因となり、カビや雨漏りを誘発させます。また、雨漏りだけでなくシロアリを発生させる原因にもつながります。シロアリが発生した場合は専門業者に駆除してもらうため、大がかりな工事が必要になるケースがあります。 住宅の2階部分のコーキングは、高所であるため業者でないと確認できません。足場を設置してコーキングの状態を確認しなければならないため、業者に依頼する必要があります。コーキングの状態を確認したい場合は、ご自身で行わず業者に依頼しましょう。
外壁コーキングは、自分で補修できる?

外壁コーキングは、業者に頼まなくても補修できます。ホームセンターでは、コーキングの補修セットが販売されており、それらを使用すると業者に頼まなくても自分で行える場合があります。費用をおさえるために外壁コーキングをご自身で行う方もいますが、状況によっては業者に依頼するよりも費用が高くなるケースがあります。 外壁コーキングの作業は専門的な知識が必要であり、正確に行わないとすぐに剥がれたり破損したりします。すぐに交換が必要になると、業者に依頼するよりも費用が高くなります。専門知識をもっていて、外壁コーキングを直せる自信がある方は問題ありませんが、初心者は業者に補修してもらうのが望ましいです。
外壁コーキングの補修を業者に依頼するべき理由
外壁コーキングの補修を業者に依頼すべき理由は、2つあります。ご自身でコーキングを補修するか迷っている方は、業者に依頼すべき理由を確認しましょう。
専門的な知識が必要なため
外壁コーキングを補修するには、専門知識とスキルが必要です。外壁コーキングを補修する際は、専門の工具を使用して適切なコーキングの種類を選ぶ必要があります。間違った種類のコーキングを選ぶと、本来のコーキングの効力が発揮できず、すぐに取り換えなければいけないことがあります。外壁用のコーキング材や水回り用のコーキング材など、ホームセンターにはさまざまな種類が売られています。そのため、用途や建物に応じたコーキングを選ぶ必要があります。
高所作業を伴うため
外壁コーキングの交換は高所での作業があり、素人が行うと落下リスクがあります。基本的には足場を設置して作業する必要があり、きちんと足場が組み立ててられていないと大きな事故につながります。足場の設置の仕方も、より安全な方法で行うのが望ましいです。 外壁コーキングの交換は1階だけでなく、2階など建物全体の補修を行う場合があります。外壁コーキングは業者に頼まなくてもできますが、安全に作業を進めるためにも業者に依頼するのが望ましいです。
外壁コーキングを補修する場合の種類
外壁コーキングの補修方法は、主に2つあります。業者がどのような作業を行うかを知っておくためにも、補修方法について確認しましょう。ここでは、コーキングの打ち替えとコーキングの増し打ちについて解説します。
コーキングの打ち替え
コーキングの打ち替えとは、古いコーキングを取り除いて新しいコーキングを打ち直す方法です。コーキングの打ち替えは既存のコーキングを撤去する必要があるため、増し打ちよりも費用が高くなります。 しかし、コーキングの打ち替えは傷んだコーキングを撤去する方法であり、耐久性が上がります。古いコーキングをそのままにすると水漏れの原因になるため、より安全な状態に保つためにも打ち替えをしてコーキングを交換するのが望ましいです。
コーキングの増し打ち
コーキングの増し打ちとは、既存のコーキングの上から新しいコーキングを打ち増す方法です。打ち直しと比べると、費用は安くなる傾向にあります。コーキングの増し打ちは、古いコーキングとの相性を考える必要があります。増し打ちをしても、古いコーキングとなじまない場合は耐久性が低下します。 既存の外壁コーキングの状態を知るには、専門的な業者による診断が必要です。個人ではコーキングの傷み具合などは正確にわからないため、丁寧に診断してくれる業者に依頼しましょう。
外壁コーキングを業者に依頼した場合の補修費用
外壁コーキングを業者に依頼した場合、どのくらいの補修費用が必要かご存じでしょうか。外壁コーキングを打ち替えで依頼した場合の費用相場は、1mあたり約900円~1,200円です。この費用に加えて、足場の設置料金が加算されます。そのため、建物の大きさにもよりますが、30万円~50万円ぐらいが外壁コーキングの補修費用目安となります。 外壁コーキングを増し打ちで依頼した場合の費用相場は、1mあたり500円~900円です。この費用に足場の設置費用を加えると、25万円~35万円の費用になります。 外壁コーキングは打ち替えか増し打ちかにより、費用は異なります。費用をおさえたい場合は、増し打ちを検討しましょう。しかし、現在の建物のコーキングの状態によっては打ち替えが必要な場合があるため、まずは業者に確認する必要があります。 また、外壁コーキングの主な費用は足場の設置費用です。費用をおさえるために外壁塗装を行う際に、同時に外壁コーキングを交換するケースが多いです。外壁塗装を検討している方は、外壁コーキングも交換してもらうことをおすすめします。
外壁コーキング補修の工事手順
外壁コーキング補修工事は、適切な手順で行う必要があります。業者に依頼する場合は、どのような手順で工事が行われるかを確認しましょう。 1. 業者による点検 業者に依頼すると、まずは古いコーキングがどのような状態になっているかを確認します。コーキングのひび割れや裂けている状態により、コーキング補修作業の内容が異なります。 2. 養生 ほかの部分にコーキングがつかないように、養生を行います。養生を丁寧に行うことで、汚れを飛び散らないようにします。 3. 傷んでいるコーキングを除去 既存の傷んでいるコーキングを除去します。カッターなどで切断して、引っ張り出すと古いコーキングを取り出します。打ち替えの場合はすべてのコーキングを除去しますが、増し打ちでは部分的に撤去する場合もあります。 4. プライマーを塗る コーキングを補修する部分に、プライマーを塗ります。プライマーを塗ると、コーキングの耐久性が高まります。 5. コーキングを充填 外壁のあいだに、シーリングを充填します。全体の厚みが同じになるように、ヘラで伸ばします。 6. 養生を撤去 コーキングが終了したら、乾かします。コーキングが固まりすぎると、養生を撤去できなくなるため、ある程度乾いたら養生をすぐに剥がします。 7. 完成 コーキングが十分に固まると、工事終了となります。丁寧に作業を行った場合は、5年~10年はコーキングの交換は必要ありません。ご自身で行えない場合は、業者に依頼してください。
まとめ
今回は、外壁コーキングの補修の必要性について解説しました。外壁コーキングが傷んでいるのに放置すると、雨漏りやシロアリの発生の原因になるため、劣化を発見したら早急に対応しなければなりません。 業者に依頼しなくても外壁コーキングを補修できますが、専門知識や技術がない場合は補修をしてもすぐにひびが割れたり、外れてしまったりする恐れがあります。そのため、外壁コーキングの補修を検討している方は、丁寧に作業を行ってくれる業者を探しましょう。
■記事執筆者
彩玉建装株式会社 代表者 須藤 恵佑■施工実績(去年)
・戸建て 60棟 ・アパート 10棟 ・マンション 3棟■関連資格
・1級建築施工管理 ・1級塗装技能士 ・雨漏り診断士 ・外壁診断士 ・カラーコーディネーター など■塗装業界歴
18年間■コラムを発信する理由
「家が痛んできたな」「そろそろ外壁塗装をしなきゃ」と考えたときにまず悩むのが「どこにお願いするか」ということではないでしょうか? ・塗装専門店・見積りサイト・ホームセンター・住宅メーカー(工務店)・野立て看板など... 情報の多さに気後れしまう方が少なくありません。 そして、この業界には定価や相場が存在しません。見積金額や施工業者の良し悪しなどについては驚くほど様々です。 外壁を塗る塗料については「半製品」です。職人が手作りで工事を進め「完成品」となります。私は何より施工店の質が重要だと考えております。 私はこの不透明な業界で従事する者ですが、より正確な情報を発信出来ればと存じております。また限りあるお金を意味のある塗装工事に使って欲しいという思いです。■施工エリア
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